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時を越えた宿命〜第1話〜その3〜
GUM [Mail]
11/21(Thr) 18:22

 フィオナは、自室で、ベッドに横になり、昔を思い出していた。
彼女はパイオニア1で先にラグオルに行っていたハンタ−ズの一人だったのである。
しかし、パイオニア1を解体し、セントラルド−ムを作り、付近をテラフォ−ミング化するための緑を植え
緑溢れる頃の本星そっくりに作り替えていく日々の中で、彼女は一抹の不安を感じていた。

『いる・・・。ここには、何かがいる。私たちが触れてはいけない、そして、私たちでは手に負えない得体の知れない何かが。
 そしてそれは狙っている。私たちの命を。』

フィオナの不安は日々増すばかりであった。

ある時、予定以外の積み荷があることが発覚し、それを本星に戻すことになった。
ついでに今まで貯めた、この星の気候、原生生物、植物に至るまでの資料と、原生生物自身も何体か積み込み
高速貨物船で輸送することが決定したのだ。
ついては、万が一に備え、軍人とハンタ−ズの一部が乗り込むことになっていた。
フィオナは、自分が乗り込めるように、あらゆる手を尽くした。
そして、約半年の帰還の旅を経て、本星へと戻ってきたのであった。





「でも何の因果で、またパイオニア2に乗ってるんだろう。変だなあ・・・・・・あたし・・・・。」

自問自答はくり返される。今まで、何度くり返されてきた言葉だろうか。

 「まあ、あれこれ考えても始まらないか。それなりに、自分は強くなったはずだし。」

フィオナは、シャワ−で体と頭をすっきりさせ、バスタオル一枚を体に巻いたままの格好でベッドに横になった。


 翌朝、フィオナは、けたたましく鳴るヴィジフォンの音で起こされた。
すぐさま、スイッチをオンにするとこだったが、自分の格好を思いだし、カメラのスイッチはオフにしたままにした。

「誰?こんな朝早くから。」

「あれ、映像出ませんよ。姉御、今日の訓練どうするんですかあ?」

「今の格好が見せれるか。声だけで我慢しな。・・・・・訓練?やるきあるのかい?」

「姉御がよければ、お願いします。昨日、二人で話し合って、ちょっと不真面目だったなって思って、反省してたんです。
 駆け出しの俺たちに、ここまで本気で訓練してくれるなんて、ほんとは、感謝しなくちゃいけないのにって。
 だから、お願いできませんかね?」

「全く。最初からそう思ってやってくれりゃあ、こっちも要らぬ心配しなくてすんだんだ。
 ま あ、アンタ達が、そこに気が付いたんなら、今までの訓練も無駄じゃなくなるな。」

「じゃあ、今日は、少し遅くなったけど、13:00から、第2中広間で。いいかい、あんた達の反省ップリを、たっぷり見せとくれよ。
 私も、いきなり、きついメニュ−にして悪かったとは思ってるからさ。それとクレイ、それから隣にどうせいるんだろう?ラルフ。
 ありがとう。・・・・・・何だか、少し、気が楽になっちゃったな。」

フィオナはつい感傷的になった。それをクレイが茶化す。

 「姉御がそんな女らしいとこ見せるなんて、やっぱり女なんですねえ。」

「・・・・・・。やっぱり、メニュ−は少し、きつめで行こうかね。」

「ああ、スイマセン。冗談ッスよ。何か、姉御ったら、この頃元気がないなあって思って。つい・・・。」

「まあ、その気持ちだけは頂いとくよ。じゃあ、訓練の時間に遅れるなよ。」

ヴィジフォンを切ると、フィオナは深くため息をついた。

「あんな駆け出しに心配されるようじゃ、このフィオナ様もまだまだだって事かな?」

そういうと、フィオナは、午後の訓練のための手配をすると、身仕度を始めた。



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