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- 信長の野望【革新】リプレイ −お嬢様の野望−(まえがき) - 御神楽 紫苑 [10/31(Wed) 1:46]
信長の野望【革新】リプレイ −お嬢様の野望−(序:紅魔、起つ - 御神楽 紫苑 [10/31(Wed) 4:09]
信長の野望【革新】リプレイ −お嬢様の野望−(1:風雲・岩付城) - 御神楽 紫苑 [10/31(Wed) 16:19]
Re:信長の野望【革新】リプレイ −お嬢様の野望−(2:常陸の大賢者・前) - 御神楽 紫苑 [11/7(Wed) 22:05]



信長の野望【革新】リプレイ −お嬢様の野望−(1:風雲・岩付城)
御神楽 紫苑 [Mail]
10/31(Wed) 16:19
 1555年、5月――晴氏追放から数日後。
 レミリア・スカーレットは、正式に城主として古河御所に入り、晴氏からの家臣に対して臣従の意志の確認を行った。 結城政勝を初めとする主だった者達はすべてレミリアに従う意を明らかにしたが、ただ一人異を唱えたものがいた。 築田晴助である。
 レミリアは彼の離反を許し、晴助は古河を去った。 「よいのですか」と結城政勝に問われれば、「敵になるかも知れない相手を飼っておくよりは、敵になって貰った方が有難いわ、この際」と、何の事もない、という態度であった。
 さらに、その場でレミリアは全員に指示を下す。 咲夜には周辺の視察と人材探索を命じ、そのほかの家臣には、急ぎ古河御所周辺に市を整備し、安定した収入を確保するよう求めた。 レミリア自らも市の建設の一部を担当し――小悪魔に日傘を持たせつつ、だったが――その甲斐あって、収入がある6月までには、赤字であったスカーレット家の財政は好転した。
 
 「上総、武蔵、常陸。 この3国には金山があるのね」
 およそ一月後、人材探索から千葉胤富という男を伴って帰還した咲夜の報告を受けて、レミリアはしばし考え込んだ。
 「上総には里見家、常陸には佐竹家、武蔵には太田家がそれぞれ勢力を保持しています」
 「んー……そうね。 太田といえば、北条と敵対していたはずね」
 足利晴氏時代に結んだ、北条家との同盟関係は未だに有効だ。 どういうわけかとレミリアも咲夜も晴朝も頭を捻ったが、どうやら「そういうもの」らしい。 しかし、之を利用しないという手はなかった。
 「さらにですが、甲斐の武田氏も岩付に進出する構えを見せています」
 「関東への出入り口を確保しよう、というわけか」
 結城政勝の息子、晴朝がうなる。 彼は旧来からの家臣の中では最も優れたものを持っており、父の政勝と同様かそれ以上に重用されていた。
 「武田は既に甲斐・信濃の二国を有する強国。 その彼らに、肥沃な土地と金山を有する武蔵を取られるのは、拙い」
 「その通りね。 当面の目標は岩付の防衛としましょう。 できるなら、私達が太田家を滅ぼして武蔵を手中に収め、このあたり一帯での地歩を固める。 財政にもあんまり余裕がないみたいだし、金山は正直有難いわ」
 「承知致しました。 ですが、兵力が足りませんね……編成できても、最大で八千というところ。 それも古河の守りをがら空きにして、です。 この状態で岩付を攻めるのは、やはり」
 「無理があるわね、確かに」
 咲夜の言葉に、レミリアも頷く。
 「兵糧も足りませぬぞ。 現在の当家の状況では、咲夜殿のおっしゃられた足軽八千を、10ヶ月も行軍させれば糧食が底をついてしまう。 岩付を手に入れられたとしても、武田が再び攻めてくるやもしれませぬし、里見や佐竹、下野の宇都宮や上野の長野も油断ならぬ相手。 余裕を持たせておくに越した事はありませぬ」
 と、晴朝。
 「そうね。 ……私は面倒は嫌いなんだけれど。 細かい事は二人に任せる、とりあえずこの夏は兵糧収入の確保に努めて。 募兵は私自らが機を見て行うわ。 以上」
 レミリアのこの言葉をもって、今回の軍議は終了。 スカーレット家、1555年夏の方針が固められた。

 それから数日が経った、ある日。
 「なぁ、咲夜殿」
 「何?」
 晴朝に声をかけられ、先を歩んでいた咲夜が振り返る。
 「里見に放っていた密偵から、面白い報告があってな。 聞くかい? ん?」
 しばらくの間に、この二人はそれなりに親しい間柄となったのだった。 お互いに歳が近いこともあって。
 「なんでも、久留里城のあたりで、真ッ昼間なのに太陽を覆い隠すような闇と、やけに大量の蛍が舞っているのが見られたそうだ。 心当たりはあるかい」
 「ああ」
 咲夜には思い当たる節が山ほどあった。 昼間の暗闇。 蛍の大群。 どちらも、そういう事ができる妖怪を知っている。
 「あいつらしか居ないわね。 そういう事ができるのは」
 「あいつら?」
 「すぐ解る、里見に行ったらきっとね。 さて、私達は仕事をしましょう。 募兵はお嬢様に任せておけば良いわ、お嬢様には――そうね、カリスマがあるから」
 ひらひらと手を振りながら、歩みを進める瀟洒な従者。 その後姿に目を奪われつつ、晴朝は釈然としない風に呟いた。
 「かりすま、ねえ」
 
 
 秋になって、状況はにわかに動き出した。 小田原の北条氏康が太田資正の居城である岩付城を攻撃するため出陣。 同盟国である武田家も、呼応して軍を動かした。 その数は北条が一万、武田が一万二千。
 「この動きに乗らない手はないわ。 少ない兵で岩付を手に入れる好機!」
 レミリアは出陣の号令を発し、小悪魔と多賀谷(日傘係)を副将として足軽隊八千を率いて進発。 古河御所には腹心の咲夜と晴朝を残し、その他の勢力への押さえとした。

――レミリア・スカーレット隊 足軽八千 統率107 武勇117 知略86
  戦法:槍衾 槍突撃 篭絡

 進軍路は南側を選択。 レミリア隊は順調に行軍を続け、武蔵と下総の国境付近に一時的に布陣、出撃の機会を伺っていた。 同盟関係には無い武田軍と距離を置く為だが、この心配は杞憂となった。
 「武田軍が武蔵に入ってすぐ帰った?」
 斥候からの報告を受けて、レミリアは一瞬きょとんとした面持ちになったが、すぐに我に還ると、「全軍出陣!」と号令を発した。 最早「大嫌い」な日の光も意に介さず、真紅の大槍を手に先陣を切って突撃してゆく。
 北条軍が既に岩付城を攻囲し、迎撃の太田資正隊が出撃している中に突っ込んだスカーレット軍は、迎撃部隊の相手を北条軍に任せ、一斉に城門目掛けて突き進んだ。
 「この戦に当家の命運全てが懸かっていると思いなさい!」
 レミリアの言葉は将兵を奮い立たせるためのものだったが、それはまた事実でもあった。 古河御所にはわずかに三千の兵しか残っておらず、いかに咲夜や晴朝をもってしても、佐竹や宇都宮が大挙して押し寄せてくれば勝ち目は薄い。 財政も逼迫している中で、スカーレット家はこの戦になんとしても勝利する必要があった。
 小悪魔の篭絡の計は失敗。 力技でかかる他ないと心得たレミリアは、部隊の士気が下がる前に勝敗を決するべく、城門向けてその真紅の槍を放つ態勢をとる。
 「――必殺『ハートブレイク』!」
 閃光、突風、そして轟音。 吸血鬼の膂力をもって投擲された大槍は、木製の城門をいともやすやすと粉砕し、さらに守兵の一部を巻き添えにして館に突き立った。
 「蹂躙せよ!」
 号令一下、スカーレット家の軍兵が一斉に突入を開始する。 資正の隊がとって返そうとするが、レミリアを先頭にしたスカーレット軍の殿隊と、氏康率いる北条軍の前衛の挟撃に遭い、着実にその兵力を削り取られてゆく。
 そして、最終決着の刻が訪れる。 城内では最後に残った櫓に一部の兵が立てこもり、頑強な抵抗を続けていたが――
 「『スピア・ザ・グングニル』ッ!」
 先程に倍する大きさの真紅の魔槍が放たれ、その意志を潰えさせた。
 ここにスカーレット家の岩付城攻略は成り、下総に加えて武蔵をレミリアは手に入れたのであった……。

 「これは良いネタが手に入りましたねっ」
 北条家の軍列の上空、その光景を小箱を手に見下ろす影。 鴉の翼を持ったその存在は、満足げに微笑んで小箱を一撫ですると、小田原の方角に飛び去っていった。


紹介期間:1555年5月〜11月
 岩付攻略。 テストプレイでは武田・北条と三つ巴の戦になって、制圧後も武田が帰ってくれなくて苦労したものだけれど、今回はアッサリ制圧できちゃってちょっと拍子抜け。
 そして某天狗様の登場フラグ……だけれど、北条と戦端を開くのは当分先。 本格的な出番はもっと後に。

―― 武将紹介 ――

太田 資正
統率:88 武勇:74 知略:78 政治:50
所持戦法:槍衾 槍突撃 先駆け 斉射 罵声
 太田道灌の曾孫。 初め北条家臣、後に扇谷上杉家臣。 軍用犬を活用して風魔衆を擁する北条家に対し情報戦で優位に立ち、所領を守り続けたが、嫡男氏資の裏切りに遭い城を追われる。 その後は佐竹氏のもとに身を寄せ、北条との戦いを継続した。 後に出家して三楽齋と号す。
 S1開始即滅亡の太田家として名物化してるけど、統率に関してはかなり優秀で、しばらくはレミリア、咲夜に次いで前線での活躍が期待できる。



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