Turks Novels BBS
〜小説投稿掲示板〜


[新規投稿] [ツリー表示] [親記事一覧] [最新の記事を表示] [ログ検索] [ヘルプ] [ホームページへ戻る]


- 麗しの父を求めて三千里・・・ - rafeel [1/8(Tue) 20:30]



麗しの父を求めて三千里・・・
rafeel [Mail]
1/8(Tue) 20:30
「人間、なんちゅうたかて、達者がなによりやぁ!」
その言葉は、天高く、青空へと
吸い込まれていった、、、。


その少女の両耳は、とがっていた。

人間、エルフ、ドワーフ、グラスランナーなどの
種族が住まう、このアレクラスト大陸。
エルフ耳の者がその辺を歩いていようが、
そんなにたいしたことでは無い。
まあ、あたりまえの風景、ではある。

しかし、
生業を、商人(マーチャント)とする、
その少女にとっては、
若干のハンディキャップになっていた。

今日も今日とて、
持ち歩きの軽い、コショウの行商。

近くの、香辛料屋に、飛び込み販売。
店のおじさんが応対に出るも、、、、?

「なんだい、お嬢ちゃん、若いねえ、
 んで、商人なんだ?
 エルフっぽいけど、なんか雰囲気ちがうね?  
 
 へぇー、ハーフエルフなんだ、道理で。
 じゃあ、どっちがエルフなの?
 お父さん? お母さん?」

ハーフエルフは、どうも、若干地位がひくく
好奇の対象になったりもしたり、、、。

「父が、エルフなんですが、ちょっと、今は
 家にいなくて、、」

「おやおや、お父さんも行商?」

「いえ、そういうわけじゃないんですが、
 連絡が、とれなくって、、、」

「まさか、行方不明なのかい?。たいへんだねえ」 

「ちょっと、探してるとこなんですが、、、」

少女は、背負い袋から、
大事そうに、ひとつの小さな額をとりだす。
「こういう人なんですが、
 心当たり、ありませんか?」

「ほーー」
と、額の絵姿を見る、おじさん。

「えらい美形だねえ、、
 残念だけど、心当たりは無いなあ、、、」

そうですか、、と、残念そうに、少女はつぶやき、
額を腕に抱く。
「どこにいるんだろぉ、お父さん、、、」

「まあー、そんな美形なら、
 町のうわさにも、なるかもしれんが、
 まあ、気を落とさないようにな。」

「そうですね、ありがとうございます」

少女は、額を背負い袋に仕舞いなおす。


「それで、このコショウの値段なんですが、、」

「おおそうだったねえ。

 んん、しかし、
 そーんな美形じゃ、
 ひょっとしたら、よそに女作って、逃げちゃった
 のかも、しれねぇなあ、ハッハッハ!」
豪快に、笑い飛ばすおじさん。

きゅぴーん!!

少女の目の色が、
文字通り、緑から赤へと変わる。

「うちの父は、そんなひとじゃありませーーん!!
 いけぇ、ウンディーネーーっっ!」
皮袋の水から、
水の精霊、ウンディーネが飛び出し、
店のおやじの顔面に、びっしゃーん、、、。

冒険者レベルの低い、精霊魔法とも言いがたい、
瞬発力だけの、精霊アタック、、、。

凍りつく、場の空気。
店にいた、ほかのお客も、つい目線がおやじに、、。
顔と肩を、水びたしにされ、
一瞬ほおける、店のおやじ。

「こらーー、なにするんだーー!!」

「きゃーー、ごめんなさーい、、、。」

脱兎の如く、逃げる少女。
ハーフエルフなので、身は軽い。


「はぁ、はぁ。
 ああー、どうしよーぉ。コショウ、、、。

 お父さんの話になると、
 つい、カッとなっちゃうのよねえ、、、」
人通りの多いメインストーリーをはずれた
細い道で、少女は、「はう」
と、ひとつため息を吐く。

「まーいっかああ、
 次の店、さがそうっと」

しかし、立ち直りも早い。
少女は、また、
商売の相手を探しに、大通りへと向かっていった。


少女には、ひとつの夢が在った。
それは、

いつか、自分が大商人になって勇名を馳せ、
その名前が、父の耳に届くことだ。

そうすればきっと、
行方知れずの父も、きっと
私に会いにきてくれるだろう。

その道のりは、
まだ果てしなく遠いように思えるが、
いつか、きっと叶えるのだ。

そして私は、いつか、生みの父に出会う、、、。
故郷の、病気がちの母のためにも、、。

しかし、それには、
彼女の「短気」を治さなければならないであろう。
交渉決裂のたびに、ウンディーネが飛んでいては
町の警邏の、お世話になって、
違った意味で、有名になってしまう、、、。

彼女が、大商人となって、自分の店を構え、
「月刊アレクラスト」のコラムニストとして
有名になるのは、
まだまだ、先の話である、、、。

「とりあえず、お金よ〜
 お金を貯めてがんばっていれば、
 きっと、いいことあるわーー!」

元気なエルフ耳の少女は、
背負い袋を担ぎながら、
大通りを、颯爽と歩いてゆくのだった、、、。

ちなみに、
少女の名前は秘密(笑)。


From ソードワールド



この記事にレスをつける時は、下のフォームに書きこんでください。
お名前
URL
メール
※SPAM対策のため、メールアドレスは入力しないようお願いします。
題名
メッセージ
パスワード
このツリーを一番上に持っていく

下のボックスにパスワードを入力すると、記事の修正及び削除が出来ます。
パスワード

Tree BBS by The Room