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- 出逢いの為の昨日と今日、別れの為の今日と明日 - Ariel [11/28(Thr) 18:53]
あとがき、というか・・・ - Ariel [11/28(Thr) 19:03]
Re:あとがき、というか・・・ - おりん [11/29(Fri) 12:30]
Re:出逢いの為の昨日と今日、別れの為の今日と明日 - サムス・アラン [11/29(Fri) 4:25]
わわ、感想をいただけるとわ(汗 - Ariel [11/30(Sat) 3:56]
では私も感想をば - GUM [11/30(Sat) 7:12]
ありがとうございます〜 - Ariel [12/2(Mon) 12:16]



出逢いの為の昨日と今日、別れの為の今日と明日
Ariel [Mail]
11/28(Thr) 18:53
ここはパイオニア2のとある船の転送区画のチェックルーム前。そこに二人のレイマールがいた。
1人は歳の頃18前後の白を基調とした服にプラチナブロンドの長い髪、
1人は歳の頃20代半ばの青を基調とした服に青磁色のショートカット。
特に有名と言うわけではないが、とにかくこの二人はまるで仲のいい姉妹のようにいつも一緒だった。
「飴ひとつしか出ませんでしたね〜」白いレイマールが笑いながらヤレヤレといった風に言う。
「そうね」青いレイマールも苦笑しながらうなずいた。
たった今ラグオル地表の森を探索してきた彼女達は街に戻って休息中だった。
しかし疲れたながらも探索の成功に充足感のある顔を見せる白いレイマールの隣で
青いレイマールはどこか物憂気な表情を浮かべていた。
「レイナさん、これからどうします?」白いレイマールが切り出した。
思ったより探索に時間がかかっていたようで時刻は深夜と呼ぶ時間帯だった。
「・・・アリエル」質問に答えるでなく青いレイマール、レイナは決意したような声で返した。
「はいな」白いレイマール、アリエルは普段と違うレイナの雰囲気に気付いて聞く体制をとる。
「実はわたし、他国艦に行くことを決めたのよ・・・・」
他国艦とはパイオニア2船団の中で本星での元の国籍ごとに分けられた他国の船のことである。
現在彼女らのいる船では一部のハンターズによる非合法の兵器複製及び流出が問題となっており
船団統括議会が非合法行為拒否派のハンターズのうち、希望者の艦間移住を先頃決定した。
「え、でも、あっちもかなり危険らしいですよ?」アリエルは信じられないと言った風に聞き返した。
そうなのだ、他国艦には簡易の複製技術こそ普及していないがもっと危険な技術が横行している。
兵器の違法製造及び改造、任意のハンターズを地表の原生生物に変化させてしまうなんてものまであるらしい。
しかも今回の移住は特例のもので、一度向こうに行ったら二度とこちらに戻る事はできない。
アリエルは所属組織の意向に沿い、又その旨レイナに説明し、二人は移住はしない方向だったのだが・・・
「クラネスが行く気らしいから・・・」
「ああ・・・それで・・・」
クラネスとはレイナの古くからの友人であるフォーマーである。
一時期音信が途絶えていたが先日再会したらしく、アリエルも2、3度会った事のある人物だ。
「アイツとは長い付き合いだし・・・それに向こうの連中が危なかったら転送室に鍵をかけるしね」
その顔に決意を見るとアリエルは何を言っても無駄だとわかった。
「お気をつけて・・・」だからこう言うのが精一杯だった。
「了解」出会ってから今までいつも聞いていたのと変わらぬように、笑いながらレイナは応えた。
「・・・行く側が残る側に餞別、てのも何だけど、コレを見て、私を思い出してね」
レイナは苦笑しながらそう言うと自分が愛用していた装備品の数々をアリエルの前に並べ始めた。
自分の目の前に、いつも自分の横で頼もしい砲火を放っていた武器が並ぶ。
持ち主を伴わず横たわるそれらは、命が消えたかのように寒々しく冷たく見えた。
青い装備が取り立てて多い。レイナは「青」にこだわりを持ち、青い色の装備を特に集めていたから。
並べ終わりしばしの沈黙。アリエルは置かれた装備品を無言のうちに拾う。
拾う他なかった。でなければこの「遺品」達はここで消えるのだから。
思い出を形として残したいと思うのは人の性だろう。
「大事にします・・・」それくらいしか言葉は浮かばなかった。
人とあまり関わりを持たず生きてきた彼女には当然別れの機会も少なく、免疫に乏しい。
上手な別れ方、綺麗な別れ方など知らないし、思い付かない。考える時間もない。それは今なのだから。
「うん、宜しくね」だが二人で歩いた時間の中、色々話してきたレイナにはその事も承知だった。
「アリエルのギルカ、1ページ目の1番上だから」
ふいに冗談めいた口調で笑いながら言う。彼女なりの気遣い。
アリエルは一瞬きょとんとしたが、すぐに吹き出しながら応えた。
「あは、それわたしもですよ」
この2ヶ月は短いようで長いようで。確かに1年半の付き合いに比べれば微々たる時間。
だがここで別れるからといって無駄ではなくて。それはとても輝いていた、いつまでも記憶に残る2ヶ月間。
「いい友に出会える事を祈るよ」
「はい。あ、今後向こうに移る事になったら、その時は1番にメールしますね!」
二人の行く道の途中には分かれ道もあるという事で。だけどいつかきっとまた逢える。
アリエルのギルカファイルの筆頭にある名前はきっとこれからも変わらないだろう。
かくして紺碧の銃姫は去り、残りたたずむ純白の銃姫の眼差しは迷いなく真直ぐだった・・・



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