「ちょい右」 「いや、真っ直ぐぅ」 「にゅ〜、どこ〜?わかんないよん?」 ぎらぎらと照りつける太陽が眩しい浜辺で、ヒューマンの少女とニューマンの少年が、目隠しをして棒を持ち歩いているニューマンの少女に指示を出している。 指示を出しているうちの1人、ヒューマンの少女の特徴は、長い黒髪をポニーテール状に束ねて、すらっとした体型で普段の服装でもスタイルはいいとわかるのだが、水着だと、さらにそのスタイルのよさが引き立つ。葵瞳が美しく、1人で浜辺を歩くだけで何人もの男が声をかけるであろう。しかし、現在の様子ではただの幼稚園児にしか見えないのが惜しまれる。名前はアヤカという。 そして、もう一人のニューマンの少年の特徴は、小柄で髪はダークグリーンのポニーテール。普段の服は緑色で地味な格好を好むためか、水着も緑色のスクール水着である、めがねを着用し、気弱な感じがにじみ出ているのだが、浜辺という開放的な場所にいるためか、その姿は年相応の少年という感じではしゃいでいる。名前はサハルという。 そして、目隠しをして指示に従いながら歩いているニューマンの少女の特徴は、背中まで伸ばした赤紫の髪はそのままで、お子様が着るようなフリルのついた紺色の水着を着ている。この中で最年少に見えるが年齢は18才とアヤカとは1才しか違わない。 最年少のサハルとは11才も年が離れている…にもかかわらず、傍目から見てもこの3人は小学生にしか見えないほど幼く見える。
「だから右だって!」 「いや、真っ直だよ」 「アヤカァ〜、でたらめ教えちゃダメだって〜」 「もういいよん!ここだぁ、しりかそ〜どくら〜しゅ!!」 ジュンは、訳の分からない掛け声と共に、持っていた棒を振り下ろす…が、そこには何もなく、ただ砂浜を強打したしただけだった。 「キャハハハハハハハハハハハハハハハ はっずれ〜」 「うにゅぅ〜」 目隠しをとったジュンは悔しそうに、大笑いしているアヤカをにらんでいる。それをはらはらした表情で見ているのはサハルである。
「子供は無邪気でいいわね〜」 「…お前も子供だろ」 その3人の少年少女から少し離れた場所に、太陽の光から逃れるように設置したパラソルの下に置いたリクライニングチェアーの上でかき氷を片手にニューマンの少女とヒューマンの少年が寝ころがっている。
ここは、パイオニア2に隣接しているリゾート艦”シーガイア”。現在は宇宙ステーション的な役割をしているパイオニアだが、元々は星間移民船であるため、用途さまざまの小型艦が随伴している。主別として、食料などをまかなう植生物プラント艦、市民の息抜きのための各種娯楽施設が完備されているリゾート艦、ハンターや軍の訓練施設などがある練習艦など数多くの小型艦が所属している。リゾート艦”シーガイア”は人工的な海辺が設備されている船である。ほかにも人工的な雪山が設備されていてスキーなどウインタースポーツが楽しめる”アルペン”、マリンスポーツ(スキューバダイビング、クルージング)などを楽しめる”イシガキジマ”などもある。 ラグオルにも海は存在するが、入植間もない現在、安全が確認されているのは、軍が指定した場所のみであり、海辺のほうはまだ調査が終了していないため、安全が確認されるまで立ち入り禁止区域に指定されているため、このような施設は継続して利用されているのである。 今日は休日ということもあってか、数多くの観光客がそれぞれの娯楽を満喫している。
「それはそうと…ツッコミどころはいっぱいあるが…取りあえず2つ程聞いていいか?」 男は、隣にいる少女に質問する。男の特徴は、肩ほどまで伸ばした暗紫の髪は軽く後ろに縛り、漆黒のTシャツとトランクスタイプの水着を着て、日よけのサングラスをかけている。男としてはカッコイイ部類に入るであろうが、惜しいことに、身長が低い。もう少し身長があれば注目の的になっていたかもしれない。まあ、彼本人も背がかなり低いことを気にしていて、迂闊にそのことをからかうとあっさりとキレるのでこれ以上は、触れないで置く。名前は闇の刃という。 「ん?なになに?」 男の質問に、少女は食べかけのかき氷を置き、かけていたサングラス少しずらす。少女の特徴は、背中まで伸ばした少し青みがかった赤い髪を後ろに2つくくり、いつも着ている服よりもちょぴっとだけ露出度を高くした赤いビキニの水着を着ている。黙っていると見た目が大人しそうに見えるが、性格は結構(いや、銀河は果てまで)ヒネている。年の割には、身長が低い。もう少し身長と胸があれば注目の的になっていたかもしれない。まあ、彼女の場合は背が低いことを気にしてはいないが、身長や胸の事をからかうと、4〜8倍になって仕返しされるので彼女を知っている人達は逆鱗に触れないようにいつも心がけている。名前はシリカという。
「まず1つ…俺達は、なぜここに(海)にいるだ?」 「だから、商店街の福引きで5人1組の旅行券が当たったから、日ごろの感謝を込めて誘ったって言ったでしょ?」 「で、何故に俺達なんだ?アヤカとサハルまで巻き込んで…」 「巻き込むなんて…まあ、5人だから、あたしとジュン…それと、あなた達で、ちょうど3人で頭数あわせって事で…ほら、あんなに楽しんでるじゃない!」 と、シリカは、3人の少年少女を指差す。たしかに、楽しそうに遊んでいる。 「…で、本当の理由は?」 「…作者がね…仕事中に海に行きたいって衝動にかられたの、でも、今年は長期夏休みが取れそうもないからって、妄想だけでもって沖縄のパンフレットを見ているうちに今回の話を思い付いたらしいの…構想は5分でテキスト打ちは8時間とか…」 シリカの話を聞いて、闇の刃は「ふう」とため息を吐く。 「ま、ヤツのやりそうなことだ…最近は仕事に開き時間があるから図にのってやがるな?ま、それはもういい、次の質問いいか?」 「ん、どぞ」 「どうして、スイカ割りなんだ?」 と、闇の刃は3人の少年少女を指差す。 「ふふふ、海といったらやることは大きく分けて5つ!」 と、シリカは右手をパーの状態で闇の刃の顔の前で突き出す。 「海でやることはと言えば、泳ぐ、浜辺で甲羅干し(寝る)、遊ぶ、食べる、一夏の経験…この5つよ!」 と、一息に言い切ると、置いてあった半分溶けたかき氷をひとすくいして口に入れる。そして、再度語り出す。 「まずは、泳ぐ…これは、普通に泳ぐのほかにマリンスポーツ!クルージングやサーフィン、スキューバなどの分野ね。でも、この船は、言っちゃえば巨大なプールみたいなものだし、マリンスポーツをするなら”イシガキジマ”に行いくしかないのでここではできないので却下!」 自分で言い出して、自己完結するシリカ。 「次に、甲羅干し…っても、母星やラグオルならともかく、この船の太陽は人工太陽で、暑いだけの大きい照明みたいなものだから紫外線は0、だから肌は焼けないのよね、つうか、焼けたらそれで困るけど…つう訳けで却下!」 また、自分で言い出して、自己完結するシリカ。 「で、食べる…そこら辺にある売店や海の家でとにかく食べ歩きをする、何の変哲もない通常価格の倍をもかかるラーメンでも海の家で食べるとなぜかおいしいのよね〜、ただ氷を砕いただけのかき氷、バータなどで生成も可能なのに、なぜか買ってしまう…イカ焼きや焼きトウモロコシも普段なら買わないのに買ってしまう…そう、これは海の魔力としか言いようがないわ! つう訳でお金がもたないので程々に…」 やはり、自己完結なのだが、否定はしていないシリカ。 「そして、一夏の経験…まあ、これは…相手がいなけりゃお話になりません…よってこの話はおしまい」 「…」 闇の刃は、完全に溶けかかったかき氷の残りを一気に喉に流し込む。シリカも、肩で息をしながら同じように溶けたかき氷を喉に流し込む。 「で!残っているのが浜辺での遊び!これも大きく分けると3つあるわ」 かき氷で喉を潤したシリカは、再度語り出す。闇の刃は一通り聞いているふりをして半分…いや、最初から話をまともに聞いていないのは言うまでもない。 「浜辺でやる遊び…それは、ビーチバレー、砂で城(堤防)を造る、そして、スイカ割り…」 「だから、どうして、そこでスイカ割りが出るんだ?」 やっと、闇の刃の質問にたどり着いたので、これ以上脱線しないようにくさびを打ち込む。 「だから〜、海といったらやることは大きく分けて…」 「最初に戻るな!いいから、俺の質問に単純に答えろ!」 「…早い話…ジュンが言い出しただけのことなのよ」 「最初からそう言え」 闇の刃は、ジゴブーマー30体を一度に相手にしたときよりも疲労した様子でリクライニングチェアーに深々と倒れ込む。シリカも語りつかれたのか、同じように深々と倒れ込む。
2人は、いまだ疲れを知らない3人の少年少女を見る。 「…子供は無邪気でいいわね」 「…お前も子供だろ」 「へ〜イ、彼女ぉ〜!ボクと一緒に浜辺を南の風に乗って走らないかい?」 先ほどと同じような会話をしていた2人の後ろのほうから、妙な声が耳に入った。2人はいぶかしげに振り向くと、そこには手当たり次第の女性(ヒューマン、ニューマン、キャシール)に声をかけている、尖ったヘッドパーツをもつ鳥頭で黒いボディをもつヒューキャストがいた。
2人は、何事もなかったかのように正面を向き一息。そして、闇の刃が口を開く。 「…すまん、もう1つ質問していいか?」 「…却下!…と言いたいところだけど聞いてあげるわ…」 「…あれは…お前の知り合いの”守護者”とか”RD”いうヒューキャストではないのか?」 守護者とRDは、チームタークスに身を置くヒューキャストである。守護者は、タークスの郵便受けを名乗っているヒューキャストで、守ることを生きがいとしている自称正義の味方(?)だ。RDも守護者と同様にタークスに所属しているヒューキャストで、正式名称はRED DEVILと言うらしい。2体のヒューキャストに共通していえるのは、黒いボディで尖った頭であることである。 「ん〜、キャスト系のヘッドパーツって、数種類しかないからダブる事はよくあるのよ。現にあたしが知っている中では、あのタイプは2、30人はいるわ、でも、あれは守護者でも、RDでもないわね」 「何故そう言い切れる?」 「判断基準は、ハンターIDと身長ね、守護者はYELLOWBOZ、RDのIDはVIRIDIAね…でも、RDはもうこの世にはいないわ」 「…殉職したのか?」 「いや、崖から落ちて頭を地面に強打したあと、破損した個所に持っていたコーラが注ぎ込まれて白煙をふくほどショートして中破したのを機会に、新しいボディとOSを購入したのよ…その際に、ボディカラーを赤に変えたの」 「…マンガみたいなやつだな…」 「で、そこで、とち狂っているヒューキャストのIDはPINKAL…そのIDで、あのヘッドパーツ、そして、あの口調のアンドロイドに該当するのは…1体しかいないわ」 苦笑 「…俺も何と無く分かってきたが…あいつのボディカラーは赤じゃなかったのか?」 「…たしかにね」 闇の刃の素朴な疑問に、シリカは軽くため息をはきながら、クーラーボックスから冷えたペプシコーラを取り出してキャップをあける。闇の刃も、クーラーボックスから冷えたポカリスエットを取り出してプルトップをあける。 「でも、今はね、メセタを支払うことでアンドロイドならヘッドパーツとボディカラー、ヒューマン、ニューマンは髪型、色、服装を自由に変えることができるのよ」 「ほう、便利な世の中になったな」 「でも、その着せ替え料金は10万メセタもするけどね」
ぶっ
闇の刃は口に含んでいたポカリスエットをふき出す。 「じゅ、10万メセタだぁ?!ラグオルでは家一軒購入出来そうな値段じゃねえか…かぁー、金持ちは違うよなぁ!!俺もメイド飼ってそんな生活してえよなぁ!!」
ぶっ
今度は、シリカが口に含んでいたコーラをふき出す。 「…メイド飼うって…闇ちゃん…キャラ違うわよ?」 「ふっ、冗談だ…」 「じょ、冗談って…あんた、今までそんなこと言うキャラじゃなかったのに…まあ、そっちのほうが好感が持てるかな(笑」 初めて聞いた冗談にシリカは驚いたが、それより闇の刃自身が一番驚いていた。これも、目の前のハニュエールや浜辺で遊んでいる3人の影響なのか?と闇の刃は思った。
「へ〜イ、彼女ぉ、ボクと一緒に浜辺を散歩しないかい?」 相変わらず鳥頭のヒューキャストは声を掛けまくっている。 「…ふう」 シリカは軽くため息をはきながら、コーラを一口。そして、 「ねえ?闇ちゃん…カズサが何で第6天魔王って呼ばれてたか知ってる?」と呟く。 カズサとは、シリカの”元”冒険仲間である赤いボディのヒュ−キャストである。現在はハンターを引退して情報屋や交渉人などをしている。 「いや、詳しくは知らない、ただ、2年前の黒歴史では、あいつは”慈悲の心もない殺戮マシーン”として恐れられてたな?…確か、カズサの名前の由来は、古代”ニッポン”とか言う地域の”サムライ”とか呼ばれていた職業に同じように呼ばれていた人物からとった名前だとか…」 「ええ、正式名称は、織田”上総介(かずさのすけ)”信長…呼び名は”第6天魔王”」 そして、シリカはコーラを一口、闇の刃も、同じようにポカリスエットを一口飲む。 「第6天魔王と呼ばれる由来は、カズサは基本AIの他に、6つの人格をAIセレクトで変えることで状況に応じて冷静かつ正確に対応できるように設計されているの…人格は個々によって異なり、好戦的で戦闘能力に秀でたノブナガモード、自信家だけど軍師的な行動をするヒデヨシモード、冷静な判断力で行動をするイエヤスモード、破天荒で奇抜な行動をとるマサムネモードなどがあるの…でね、それぞれの人格に共通して言える事は、どの人格にも”魔王”が宿っているって事なの」 「…ほう…それは初耳だな?今のカズサからは想像できないが」 「今のカズサはね…2年前のあのときに、基本AIに精神汚染電波を受けて少し…いや、大分おかしくなっちゃったのよ…6つの魔王AIもすべて破損しちゃったみたいだし」 一息 「で、これからが本題…カズサには隠し人格…つまり基本AIと6つの魔王AIのほかに、もう1つ人格があるのよ」 「ほう?」 「その人格の発動には条件があって…今のここのように女性が…しかも水着で大勢いて開放的な場所、そして、カズサの基本AIがスリープ状態にあること…この条件が重なると隠し人格の”カズちん”が表に出てくるの、特徴は自分のことを”ボク”と呼び、ラテン系のような軽い口調になり異性を見ると声をかけずにはいられなくなるらしいの…魔王AIの場合は、各人格が発動しても基本AIは活動状態にあり常に記録を行うんだけど、”カズちん”が発動されると基本AIはスリープ状態になり一切の記録はされなくなるの…って、聞いてる?」 「…」 闇の刃は何も語らず、ただ、シリカの方…正確にはシリカの背後を見ていた。不審に思ったシリカも後ろを振り返ってみると、なにやら壁のようなものが存在していた。 「ヘイ、彼女!そんなちびの彼氏なんか捨てて、ボクと一夏のアドバンテージをしないかい?」 と、右手の親指を立てる。壁ではなく黒いボディのナンパヒューキャストであった。人間の場合、爽やかに微笑んで、歯がキラーンと光っていただろう。 いつものシリカなら、アドバンテージじゃなくアバンチュールだじゃないの?とツッコミがはいり、闇の刃も、誰がチビだ!とキレる所だが、この不意をつかれた攻撃に、一瞬思考が止まってしまったただ呆然としていた。 そんな、2人を他所に、ナンパヒューキャストはシリカを観察する。視線は太ももから胸へ、そして、顔へと移動したあと、その場で180度、回れ右をして背を向けた、そして「…なんだ、ガキか…」と呟きその場を立ち去ろうとしたが、後頭部にシリカの飛び膝蹴りを受けてそのままうつ伏せに転倒する。
「悪かったわね胸がなくて!悪かったわね幼児体型で!」
ガンガンガンガンガン…
誰もそこまで言っていないのだが、我を忘れたシリカは笑顔で倒れたヒューキャストの後頭部を鷲づかみにして、何度も地面に叩きつけていた。下が砂場ではなかったら、とっくにヒューキャストの頭は粉砕していたであろう。ちなみに闇の刃は、他人のふりをしてポカリスエットを日本茶のように啜っていた。
「で、何でこんなところで、ナンパしてたのかな?」 一通り殴り終えて落ち着いたのか、シリカは目の前で正座をしている、丸顔(尖っているパーツは見事つぶれた)のヒューキャストを睨む。 「…それがだな…記録されていないのだ…仕事でこの船に来て商談を終えて、帰り際に何気なく浜辺を歩いていたら…そこから先の記録は一切ない」 「なるほど…他の魔王AIと違って”カズちん”は完全に人格の入れ替えをするからね…で、元に戻す場合は頭を叩くと…」 「…それにしては、叩きすぎではないのか?」 そう言ってカズサは自分の顔のつぶれた個所を指差す。しかし、シリカは「電化製品は、調子が悪くなったときは叩くのが一番なのよ!」と平然と答える。そもそも、アンドロイドと電化製品を一緒にすること自体が問題なのだが、闇の刃は敢えてツッ込むことはしない。 「…まあ、何はともあれ一件落着だな?と言う訳でオレは帰るぞ」 と、立ち上がろうとしたカズサの両肩をシリカは笑顔でガシッと抑えて「それはそれ、でも、あたしに対して、胸がないとか、男と間違えたとか、バートルみたいに硬そうだとか、カオスブリンガー以上に手がつけられないとか…散々言ってくれたお詫びはしてもらうわよ」と笑顔で言う。闇の刃は、そこまで言ったかな?…と思ったが、まあ、どうでもいいか、と他人事のようにポカリスエットを一気に喉に流し込む。
「ちょい右」 「そうそう、そしてそこを真っ直ぐ」 「ちがう!そこの2人の言うことはでたらめだ!左を向いてそのまま直進しろ!」 「カズサ!余計な事言わないの!ジュン?そいつの戯言は無視しちゃっていいからね♪」 「ういういサ〜!!」 ぎらぎらと照りつける太陽が眩しい浜辺で、アヤカ、シリカ、カズサの3人がジュンに指示を出している。
「…教官?」 「…なんだ?サハル…」 その4人から少し離れた場所に、太陽の光から逃れるように設置したパラソルの下に置いたリクライニングチェアーの上でくつろいでいるのは闇の刃とサハルである。 「…女って怖いですね…」 サハルは、ぎらぎらと照りつける太陽が眩しい浜辺で、目隠しをして棒の代わりにブレイブハンマーを振り上げて歩いているジュンと、スイカの代わりにカズサの頭を置いた、シリカ考案の浜辺での遊び”カズサ割り”を楽しんでいるシリカとアヤカを見ながら呟いた。 「…その年でそのことを知っただけでも十分だ」 闇の刃はもうその話題に触れたくないのか、体を横に向け視線をそらす。しかし、そこにはロープです巻きにされているカズサのボディが転がっていた。
おわり
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