夜中、高速を流すバイクでふっと思い出してみる。
そう、あれはいつだったか・・・ 思えばまったくの偶然から見つけた人だった。 そう、砂漠の真ん中に光るダイヤのような・・・ 私はそれを拾い上げたが、また足下に置き・・・歩き出した。 砂漠の中の長い道のりを・・・。
気がつくとバイクは俺を、高架形式のネオンが明るい街まで運んでいた。 少し前まで、お互い手を繋いで歩いた街。 しかし、もうそこには幻影の2人しかなく、俺はその横を甲高い音と共にすり抜けていく。 闇に浮かぶネオンは、いつもより数が多く揺らめいている。 左手でシールドを少し開け、右手でグリップを大きく振り絞った。 バイクの上で踊る俺に、2人はついてこれない。 いや、俺が2人から逃げるため、あえてこの場所を選び走っている。 いつ逃げ切れるのか・・・きしむフレームを押さえ込み交差点に飛び込んでいく。 そろそろ、夜も明けそうだ。
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